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「キャリブレーション」とは?意味・内容と「校正」との違いを解説

キャリブレーション(Calibration)は、調整や計測といった意味を含む言葉です。

ものづくりの現場を中心に活用されている測定機器は、常に正確な数値や結果を表示しなければなりません。キャリブレーションは計測を行う機器類に狂いがないかを確認し、基準に合わせて調整する行為を指します。

この記事では、キャリブレーションの意味とタイミング、ロボットキャリブレーションについて紹介します。どのように行われているのか、ものづくりという観点を踏まえて紹介します。

キャリブレーションとは

キャリブレーションとは、日本語で「較正」「較正」「調整」といった意味に訳される言葉です。言葉自体はさまざまな業種・業界で使用されていますが、業界ごとに意味が異なる点に注意が必要です。

計測器を扱う産業・工業分野では、正確な値が表示されるように調整する行動を意味します。具体的には「機器に誤差がなく正常性を維持できているかを計測・確認・調整する行動・作業」のことで、基準となるゲージや正しい結果を出力できる標準機の結果と対象機器の結果を比較し、ずれが生じていれば調整を行います。

体温計や体重計のような測定機器は、計測したままの正しい値を表示する必要があります。しかし、経年劣化やその他の影響で狂いが生じると、実際の値からずれて誤差が生じます。そこで、キャリブレーションによって目標値に調整する作業が必要になるのです。

キャリブレーションと校正の意味の違い

キャリブレーションを日本語にすると「較正」「調整」「校正」という意味になります。

「校正」は正確性を確認したうえで精密な値を求め、どの程度ずれているかを明確にすることです。「較正(こうせい)」は「校正」とほとんど同じ意味であり、測定器を対象に値を比較する作業を指しています。

「調整」は測定器に限らず、基準に合わせて整える作業すべてを指しています。「スケジュールを(目安や基準に合わせて)調整する」といった表現がその一例です。

キャリブレーションは「校正」と表現されることがありますが、厳密には機器の計測結果が正しいかを確認するのみならず、偏りや誤差が見つかったときに機器を調整する作業までを含めた言葉です。

また、ビジネスの世界でもキャリブレーションという言葉が使われています。ここでいうキャリブレーションは、社員のスキルや実績を評価するための基準を作成し、その基準に基づいて評価までを行います。

基準に照らし合わせる「校正」のみならず、その後の評価作業までを含めている点がポイントです。

キャリブレーションをするタイミング

キャリブレーションを実行するタイミングは、以下の5つの場合です。

【キャリブレーションの実行タイミング】

  • 測定器のメンテナンス時期
  • 測定器の使用前・使用後
  • 経年劣化が考えられるとき
  • 測定値に異常や不具合があるとき
  • 前回と環境が異なる場合

測定器は精密さが求められるため、定期的な点検・調整が必要です。不具合や異常がみられなくても、メーカーが推奨するメンテナンス期間、半年や1年ごと、2年おきなどに行いましょう。

測定器の使用前と使用後にも異常や誤差の有無を確認するためにキャリブレーションを行なってください。

購入してから年数が経っている機器については、経年劣化のおそれがあればそのつどキャリブレーションで性能を確認・調整します。測定値に異常や不具合がみられる、普段と違う結果が出た場合にも調整が必要です。

測定器は環境に左右されるため、気温や湿度が異なると誤差となって表れることがあります。前回実行した環境と異なるとき、また測定器を使用する環境そのものが変わったときには、キャリブレーションを行いましょう。

測定器に異常がないが、測定器に繋がる機器に異常が発生する場合もあります。そのようなケースについても、機器のみならず測定器本体のキャリブレーションも実行し、確認したうえで精度を保つようにしてください。

ロボットキャリブレーションについて

ロボットキャリブレーションとは、産業用ロボットなどを正しい位置に合わせなおす作業です。

測定器のキャリブレーションは正確な値を求めるための調整作業ですが、ロボットキャリブレーションは稼働を開始する位置の微調整を指します。

作業の再現性を確保しなければならないロボットは、ずれが発生すると製品の品質に差がついてしまいます。ロボットは一定の動きで精密な作業を行わなければならないため、位置調整が重要になります。

手動で行うキャリブレーションは熟練の技術者のスキルに依存しやすいデメリットがあるため、オートキャリブレーション機能を搭載しているロボットもみられます。パラメータ計算を自動で行い、角度や位置の誤差を減少させる機能です。

定期的なキャリブレーションで品質を保つ

今回は、キャリブレーションの概要や作業内容、実行のタイミングについて紹介しました。

キャリブレーションはビジネスや心理学の分野でも使用される言葉で、測定器に対しては定期的または異常がみられたタイミングで調整作業を実行する必要があります。

測定器やロボットは常に一定の動作精度を確保しなければならないため、わずかな誤差を修正する作業が欠かせません。

作業や検査の精度を高め、維持するためにも定期的にキャリブレーションを行いましょう。