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土壌の状態をチェックできる「土壌測定器」の種類・使い方と計測目的

土壌測定器は、土壌の成分を調べるために使われる機器の総称です。花や植物が育ちやすいように土壌を調整・改良する目的でも使用され、測定結果は調整や改良が必要かどうかを判断する目安にもなります。

土壌はそれ自体が塩分や酸度、水分量や照度といった指標をもっています。測定箇所の土壌がどのような状態なのかを総合的にチェックできる測定器を使えば、一定の時間内に必要な情報を確認することができます。

この記事では、土壌測定器の種類や土壌の硬度を計測する目的、土壌硬度の求め方について紹介します。測定器を使用する際の注意点も取り上げていますので、ぜひ測定器選びの参考にしてください。

土壌測定器とは

土壌測定器は、緑化や植物の栽培に土壌を活用したい場合などに用いられる測定機器の総称です。

【土壌測定器の種類】

  • 土壌酸度計
  • 土壌水分計
  • 土壌硬度計
  • 土壌塩分計
  • 地中探査機
  • 土壌採取器
  • 土壌透水性測定器
  • 土壌導電率計
  • 土壌温度計
  • 土壌水質分析器

酸度や水分量、硬度といった基本的なデータを得るための測定機器は、土壌測定器に含まれます。pH計・塩分計・水分計などがひとつになった多機能タイプの測定器も販売されています。

関連記事:土壌や水質の検査・管理に活用される「phメーター」の使い方と注意点

山中式と貫入式の違い

山中式土壌硬度計は、土壌硬度計の一種です。平らな面に垂直な角度からコーンを圧入し、圧入の深さと土壌の反力を測定して硬度を算出します。軟らかい土壌から軟質岩までに対応できる硬度計です。

標準型は耐久性の高いステンレスで作られ、普及型と呼ばれるモデルは樹脂でできています。ポケット型と呼ばれる手のひらサイズの軽量なモデルや、平面型と呼ばれる海辺・砂浜向けのモデルもあります。

貫入式土壌硬度計は、表面から約90〜100cmまでの深さの硬さを測定する測定器です。2kgの落錘(らくすい)を落下させて、貫入した深さから土壌の硬度を求める仕組みです。

土壌硬度を計測する目的

土壌は作物を育てるために適切な温度・水分量・イオン濃度を保持していなければなりません。さらに、樹木が根を張って育つためには硬度が重要です。

区画の拡大や建造物を建てるためには土壌の硬さが求められますが、稲などの作物の生育には軟らかさが必要になります。目的に応じた硬さが確保できるかを硬度計によって調査します。

土壌測定器の使い方

山中式土壌硬度計の使い方をみていきましょう。

測定する土壌を平に削る

測定する土壌の表面を平らにします。平らにしなければツバと呼ばれる部分が平らに接しないため、きれいにならしてください。

誘導指標のメモリを0に合わせ、土壌面に圧入する

硬度計の誘導指標のメモリを0に合わせて、円錐(コーン)部分を面に当て、そのまま上から垂直に圧入していきます。この作業はゆっくりと正確に行います。

つばが断面に接触したら、ゆっくりと引き抜く

ツバと呼ばれるヘリ部分が土壌の断面に接触したら、ゆっくりと全体を引き抜きます。このとき、すばやく引き抜かずゆっくりとした動作で垂直に引き抜いてください。

3回計測を行う

3回の測定結果を平均してみると、硬度がより正確に計測できます。一連のゆっくりとした動作を、ひとつの土壌に対して3回実施してください。

3回の計測では、一度円錐を差し込んだ部分は避けて、新しい面に対して行いましょう。その際、面が平らでなければきれいにならし、1回目や2回目の測定部分から離れすぎていないところで測定します。

土壌硬度の求め方

土壌の硬度と支持力は、平滑な土壌に対して垂直に測定器を差し込み、表示された硬度の目盛り(mmおよびkg/c㎡)の値で判断します。

山中式土壌硬度計では、mmと書かれている部分がバネの縮長(円錐の穿入量)を示し、この数字を硬度として読み取ります。さらに、土壌に荷重を加えたときの荷重強度である支持力(P)は以下の計算式で求めます。

P=100✕0.7952(40X)²

P:支持力
X:バネの縮長(円錐の穿入量)

支持力Pを求める計算式については、記憶する必要はありません。山中式土壌硬度計では取扱説明書に硬度指数による支持力の数値が一覧表となって付属します。

土壌は、硬く締まっていると根の成長が妨げられ、水や養分も吸収しにくくなるとされています。山中式土壌硬度計で21mmまでの深さは根が良く伸びますが、21mmを超えると根の張りが悪くなります。※

※参考元:国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構「2.土壌理化学性のリスク

土壌測定器を利用する際の注意点

土壌測定器を利用する際、次のポイントに注意が必要です。

【土壌測定器使用上の注意点】

  • 計測できる深さに限界がある
  • 硬度以外の測定結果も考慮する
  • 取扱説明書の注意に従う

土壌硬度計は計測できる深さが限られているため、根を深く張る植物や地中深くに生育する根菜の栽培目的で硬度を測定する際は、計測場所などを考慮しましょう。

土壌の測定では、温度やイオン濃度といった他の情報も必要になることがあります。その場合は、温度計や酸度計のような測定機器を組み合わせて、硬度以外の測定結果も併せて分析します。

測定器の取り扱いや保守・メンテナンスについては、メーカーの説明や製品の取扱説明書に従ってください。

便利な土壌測定器を活用して土壌のチェックを行う

今回は、土壌測定器の概要と、測定器の一種である硬度計の概要や使い方を紹介しました。

植物の栽培や法面の緑化には土壌の状態を正確に把握する必要があるため、硬度計のような測定機器が重要な役割を果たしています。

土壌水分計や土壌酸度計などの機器を複数使用する際は、使用の順序や測定にふさわしい土壌の状態にも配慮し、取扱説明書に従って測定を行ってください。