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超音波流量計とは?原理・特徴・メリットと超音波以外の流量計を紹介

溝や配管を流れる気体・液体の計測には、超音波流量計が使われます。超音波の送受信で流量を計測するため、設備機器を分解せずに測定することが可能です。

超音波流量計には複数の種類があり、それぞれにメリットや注意点があります。新たに購入やレンタルを検討するときには、目的や使用環境に合う機器を選び、導入しましょう。

この記事では、超音波流量計の分類と原理、メリットや注意点を紹介します。超音波流量計以外の流量計の種類・特徴についても取り上げていますので、計測器選びの参考にしてください。

超音波流量計とは

超音波流量計(超音波式流量計)は、配管の中を流れている流体や気体の速度・量を計測する測定機器です。

超音波は人間の耳が聞き取れない高周波の音波で、気体・液体・固体の内部を透過するほか、速度の異なるものに当たると反射する特性をもっています。超音波流量計はこの性質を利用して、流量・流速を計測します。

ガス管を伝搬時間差方式によって計測する例を挙げると、計測器をガス管の上流と下流にそれぞれ取り付けて超音波を出すと、下流側は抵抗を受けるため上流よりも流速が遅くなります。この時間差を計測すると流速が求められ、配管の断面積と流速をかけ合わせると流量が求められます。

超音波流量機の分類と原理

超音波流量計には、ドップラー効果を活用して流速を求める「ドップラー式」と、2つの送受信機を上流と下流に取り付けて超音波の伝搬時間を使う「伝搬時間差方式」があります。

それぞれの方式について、仕組みをみていきましょう。

ドップラー式

「ドップラー効果」とは、波が起こるとき、その波の発生源や観測者が移動して観測される周波数が変化する現象です。ドップラー式流量計は、このドップラー効果を使って流量を計測する測定機器です。

流量計で計る流体や気体の粒子・泡は常に運動しています。ここに超音波を送ると、超音波が反射して周波数が変化するドップラー効果が生まれます。この周波数の変化は気体の流率に比例することから、流速・流量が求められます。

仕組みはやや複雑ですが、センサーから発信された超音波を反射させるもので、配管の外部にセンサーを取り付けるだけで計測が可能です。

伝搬時間差方式

伝搬時間差方式とは、配管の外部にセンサーを取り付け、管の中を横切るように超音波を送信します。流体・気体に反射した超音波を受信するまでの時間を2ヶ所で計測し、流量・流速を求める測定機器です。

キャビテーションが生じる気体の中では誤作動を起こすおそれがありましたが、気泡を通過した際の影響をキャンセルできる機能が搭載された流量計もあります。

伝搬時間差方式流量計は、超音波を使った流量計のなかでも多く用いられている機器であり、測定するガスの成分や圧力に変化があっても流速演算に影響を与えないメリットがあります。

超音波流量計のメリット

超音波流量計は、外側から配管の内部に流れる気体や液体の速度や流量を確認できる機器です。

メリットは以下の5つに分けられます。

【超音波流量計のメリット】

  • 応答時間が短い
  • シンプルな構造で扱いやすい
  • 圧力損失が起きない
  • 正逆計測が可能
  • 液体と気体が計測できる

超音波流量計は、音響振動を使って流量と流速を計算します。配管の外側に機器を取りつけるだけで計測を開始できるシンプルな構造が特徴で、超音波を活用するため応答スピードが速く、スピーディな測定が可能です。

小さな口径の管以外は非侵入で計測できるため、流路の一部を絞る必要がなく圧力損失の心配がありません。

構造が上流と下流で対称になっているため、逆方向の流れも測定可能です。液体と気体の計測に適しており、原理的に密度や粘度の影響を受けないメリットがあります。

超音波流量計の使用に関する注意点

超音波流量計の使用では、以下の点に注意してください。

【超音波流量計の注意点】

  • 気泡や固形物に弱い
  • 曲げ・絞りは結果に誤差がでる

超音波流量計の使用では、不純物や気泡、固形物が含まれていない状態が理想的です。固形物が存在していると超音波の伝搬を阻害するリスクがあり、気泡は「キャビテーション」と呼ばれる破裂によって超音波の送受信ができなくなるためです。

曲げた状態や絞りがある配管では、内部で流体や気体の流れが変化するため、測定結果に誤差が生じます。そのため、必ず管がまっすぐになっている部分(直管部)にセンサーを設置しなければなりません。

そのほかの流量計の種類と特徴

流量計には、超音波以外にも電磁式流量計や容積流量計など、いろいろな種類があります。

測定する流体の性質や検査を行う管の大きさや長さ、流体の密度・粘度・導電率から、検査に適した流量計を選びましょう。

流体によって上げ下げする浮き子の位置から流量を測定する「浮き子式流量計」や、流体で羽根車を回してパルス波を発生させ、そのパルス波を電圧信号に変換して流量を測定する「羽根車式流量計」もあります。

流量計は気体や液体といった移動する媒質の量を測定する機器のため、熱や電磁波などさまざまな方法で計測が行われています。

ここからは、超音波流量計以外の流量計の種類を確認していきましょう。

容積流量計

容積流量計は、オーバル流量計とも呼ばれています。流体の流れる力を使って運動子と呼ばれる部品をケースの中で回転させ、その回転数から流量を求める測定機器です。

運動子には歯車などが用いられます。流体そのものが部品を動かすだけのエネルギーを持っていなければならないため、粘度の高い流体の計測に適しています。

コリオリ流量計

コリオリ流量計は、機器の内部に流体が流れると力の方向が逆向きになり、その力を受けてねじれを発生させ、ねじれの程度を調べて流量を求める機器です。

ねじれの程度は流体の質量に比例するため、液体・気体に対して質量を計測することができます。

タービン流量計

タービン流量計は、流れの中に設置した筒の中に流体を流し、筒の内部に設置されている部品(タービン)を回転させて、その回転数で流量を計測する機器です。

高精度の流量計測が可能で、液化ガス・石油・水などの計測に適しています。

熱式質量流量計

熱式質量流量計は、温度差によって流量を割り出す「温度差測定法」と、流体の中にヒーターを置いて2ヶ所で温度を測定し、温度差が一定になるようにする「消費電力測定法」の2種類があります。

質量流量計は熱式とコリオリ式の2種類があり、熱式はガスのような気体の流量を測定する際に使用されています。

電磁式流量計

電磁式流量計は計測対象の管の中に磁界を発生させ、その中を流れる導電性液体の流速によって生じる起電力を検出し、流量を計測する測定機器です。

流体の温度・粘度・圧力の影響を受けず、異物を含んだ流体の流量測定もできるメリットがあります。ただし、導電性のない流体や気体の測定はできません。

流量管理の目的を明らかにして流量計を選ぶ

今回は、超音波流量計の特徴やメリット、超音波以外の方法を使った流量計について紹介しました。

流量計の選び方はコストや扱いやすさだけではなく、測定の対称となる流体の種類や環境から流量管理の目的を明らかにする必要があります。その後、検出方法を決定して流量計を比較検討し、絞り込みましょう。

超音波流量計以外の計測機器にもメリット・デメリットがありますので、特徴を確認のうえ、検討を行ってください。